コロナ禍での生活環境で困ったことはありますか?
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看護学生
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、明日の看護職を目指す学生たちの生活と勉学環境にもより深刻な影響を及ぼしているのではないかと考え、看護学生が置かれている現状を把握するための全国実態調査を昨年に続き、実施したので報告する。
<集計概要> 回答数1,347名
●46都道府県、231の看護師等学校養成所の学生(看護学生)から回答を得た
2021年コロナ禍での看護学生の現状と必要な手立て
~看護学生全国実態調査の報告~より
コロナ禍での生活の変化について
1.ご自身の生活環境で困ったことはありますか?
(n=1,324)
●どのようなことを困っていますか?
2021年n=609
①ストレス増大 37.6%(229名)
②アルバイト禁止
アルバイト収入の減少 30.7%(187名)
③運動不足 15.1%(92名)
④体調不良 11.2%(68名)
⑤その他 5.4%(33名)
2.家族の生活環境で困ったことはありますか?
(n=1,326)
回答者の7割は、経済的な困りごと
●どのようなことを困っていますか?
2021年n=425
①コロナのリスクが心配 31.3%(133名)
②家族の給料の減少 24%(102名)
③学費の支払い(兄弟等学費が重なる等) 19.3%(82名)
④食料の購入(生活費) 15.8% (67名)
⑤家賃・住宅ローンの支払い 5.9%(25名)
⑥その他(回答内容次のスライド) 3.8%(16名)
●その他の回答
・親の病気
・受診控え
・入院
・周りからの目
・自粛によるひきこもり
・父親が透析で無職になった
・人間関係がうまくいかずに仕事を辞めて引きこもっている
・看護学生であることを隠さなければいけない
・両親の喧嘩が増えた
・遊びに行けないストレス
・遠くに住んでいる家族に会えない
・遠方に住む家族の手術や入院の手続きが、コロナの影響で複雑化する
・子供の学校時短
・子どもの気分転換や学力低下の心配
・自宅でオンライン授業を行なっているため、妹もオンライン授業となった時にネット環境が重なりそうになり心配だった。
3.授業料やその他、学業のための支出に影響はありますか?
2021年(n=1,297)
支出に影響ありが、3割➡6割へ倍増
●どのような影響がありましたか?
①生活費 360名
②コピー機のカートリッジ購入が負担 182名
③授業料の支払いが困難 181名
④教科書などの購入が困難 141名
⑤文房具等の購入 119名
⑥資料の印刷用用紙の購入が困難 88名
⑦その他 173名
4-1 新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、自身の医療観や目指す看護師像に変化はありますか?
(2020年n=1,115 2021年n=1,315)
4-2 自身の医療観や目指す看護師像で変化したことは何ですか?
226件の回答
<頑張りたい、もっと力をつけたい、役割の再認識>
・医療従事者としての感染予防の重要さ、責任の再確認が出来た。
・もっと多くの人を救いたいと強く感じました
・面会できないご家族や患者様の思いを尊重・理解し、寄り添うことを大切にしようと思った。
・看護師はなくてはならない職業
・素早く的確な看護を提供出来る看護師
・より先進的な知識・技術を身につける必要があると感じた
・より即戦力のある看護師になりたい
<不安、迷い、嫌悪>
・本当にこの中で看護師が出来るのかどうか
・分からなくなってきた
・差別されるのではないかという恐怖
まとめ
• 授業料やその他、学業のための支出に影響があったと回答した学生が、6割と倍増(昨年比)した。
• 家族の生活環境で困ったことがある学生のうち7割が経済的な困りごとであった。
• 自身の生活環境での困ったことがある学生のうち、ストレス増大37.6%(229名)、体調不良11.2%(68名)と回答。心身面の支えを必要とする学生が生じており、世帯年収が低い学生ほど、高い比率になっていた。
• しかし、このような困難な事態の中で、看護職に就くモチベーションを更に高めている学生が存在することがわかった。この想いを何としても未来につなげたいと考える。
看護学生実態調査結果資料はこちら
全日本民医連は2021年12月1日、看護師を目指すすべての学生並びに看護養成校への必要な支援を求め、厚生労働省と文部科学省あてに要望書を提出。パンデミックの中で一層強く求められている未来の看護職の養成のために政府が責任をもって支援するよう訴えました。…詳細はこちらから
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