脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 鈴木良輔さん 秋田:中通リハビリテーション病院|看護師インタビュー

はじめに
「一度死んで奇跡的にもらった命、大切に、丁寧に生きます」これは、脳出血で療養し自宅退院となった患者さんが、退院前夜に話してくださった言葉です。
脳卒中の患者さんにとって、回復期病棟に来て初めて自身の障害と向き合うことも少なくありません。この方は、最初の言葉の他にも「鈴木さんが“トイレに行ってみましょう”と入院の日に声をかけてくれたのが、すべての始まりです」と嬉しそうに話してくださいました。
私は、半年前のことを覚えていたことの驚きとその一つの行動が患者さんにとっては大きな意味を持ち、排泄ケアの重要性を痛感したのを覚えています。患者さんは急性期では失禁や尿器での排泄が中心でしたが、トイレで排泄するという動作一つを通して、「これまでの当たり前に近づける」「また当たり前にできるかもしれない」という希望を持つことができたといいます。
心身の機能回復と、その人らしい生活の再構築を支える回復期看護に、私は大きな魅力とやりがいを感じています。
排尿ケアチーム立ち上げ
私は2020年に脳卒中リハビリテーション看護認定看護師を取得しました。幅広い知識を身につけることで、回復期での看護をより深く、より楽しいものにできると考えたからです。現在認定看護師としては院内外での教育的活動に加え、排尿ケアチームや身体的拘束最小化チームを中心に活動しています。
令和2年度の診療報酬改定により、回復期病棟でも排尿自立支援加算が算定できるようになりました。それに伴い、当院でも排尿ケアチームを立ち上げ、昨年より活動を行っています。回復期で働く中で、入院時に膀胱留置カテーテルが挿入されたまま入院となるケースでは、明確な抜去基準がないまま留置が長期化してしまう現状がありました。活動開始後は、入院時にスクリーニングを行い、早期から排尿ケアを開始できる体制を整えています。その結果、早期抜去と排尿自立に向けた取り組みが進み、スタッフの意識にも変化が見られるようになりました。

排尿ケアは、単に排泄機能の回復を目指すだけではありません。排泄は人が生きていくうえで欠かせない行為、基本的欲求の一つであり、人の尊厳や自尊心と深く結びついています。カテーテルに依存した状態から離れ、自分のタイミングでトイレに行けるようになることは、「できることが増える」という身体的な回復だけでなく、「自分で生活できる」という自信の回復にもつながります。
また、トイレでの排泄動作には、起き上がる・立ち上がる・移動する・衣服を操作するなど、複数の生活動作が含まれており、リハビリテーションの視点から見ても重要な意味を持ちます。排尿ケアをきっかけに活動量が増え、結果として全身機能の回復を促す側面もあります。さらに当院では、医師、看護師、ケアワーカー、セラピストがそれぞれの専門的視点を持ち寄り、カンファレンスを通して個別性の高い排尿ケアを検討・実践しています。排泄のタイミングや動線、身体機能に応じた介助方法、内服調整などを多職種で共有することで、患者さんにとって無理のない形で自立を支援することが可能となっています。
このように、排尿ケアは身体機能の回復、生活の再構築、そしてその人らしさの回復を支える基盤となるケアであると感じています。今後の目標は、排尿ケアチームのさらなるスキルアップです。
回復期多施設合同勉強会

また、認定看護師として「回復期多施設合同勉強会」を開催しています。これは認定教育課程で出会った同期とともに立ち上げた企画であり、東北地方の病院を中心にオンラインや対面で学習会を行っています。他施設との情報共有は非常に有意義であり、日々の実践の質向上にもつながっていると感じています。興味のある方は、ぜひご連絡ください。
掲載日:2026年6月15日/更新日:2026年6月15日








