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報告|看護学生の学びの支援と医療職国試追試等を求める文科省・厚労省要請行動

2022年11月30日(水)。午前中に文科・厚労委員会に所属するの国会議員の部屋を廻り、昼から参議院議員会館で文科省・厚労省担当者に要請、その後厚労省記者クラブにて記者会見を行って来ました。

 

Ⅰ.取り組みの内容

 

今回で9回目となる要請行動。実態を把握する為に取り組んだ「2022年全国看護学生アンケート調査」(45都道府県1,556名の看護学生にご協力いただきました)からは、仕送りの金額が月額2万円未満しかないという学生が前回二回の調査よりも20%増加、奨学金の返済に不安があると答えた学生が半数から7割に増え、その為にアルバイトをする学生は半数から8割へ急増。このような実態を文科・厚労委員の議員に伝え(自民;星北斗、立憲;川田龍平、共産;倉林明子参議院議員本人と懇談)、文科省・厚労省に下記の要請を行いました。その後記者会見を開き世論にも訴えました(メディファックス・「赤旗」報道)。

 

※調査結果は☛ https://kirarikango.com/news/news-2130/

 

今回の取り組みではアンケートの調査項目を検討する段階から看護学生にご協力いただき、民医連看学教職員を中心に他の看護職養成校にも広く調査協力を呼びかけ多くの賛同をいただきました。同時に、自分たちの考えや想いを届けたいと、学生が顔を出して動画撮影に臨み、しかも近年では初めて5つの看学で学生自治会として訴えをしてくれました。

当日は、共立(山梨)、東葛(東京)、泉州看学(大阪)の教職員が行動と会見に参加し、要請行動をおよそ50人がWeb傍聴しました。

 

※学生自治会と学生の訴え動画は☛ https://www.youtube.com/watch?v=QsmumwCeK0k&t=267s

           

Ⅱ.要請事項と回答内容

[文科省への要請]

1.「学生等の学びを継続するための緊急給付金」について、今年度の速やかな支給対応を求めます。そしてすべての学生を支給対象者とすることを求めます。

2.慢性的な看護職不足を解消する為にも、看護職を目指す全ての学生を対象とした給付型奨学金の創設を早急に検討することを求めます。

3.国際人権規約第13条【教育に対する権利】を誠実に履行し、国の教育予算を増やし、高等教育無償化、看護職養成所への補助金の拡充を政策化し、お金の心配なく誰もが平等に学ぶことができる教育制度への転換を求めます。

 [文科省からの回答]

1.新型コロナの影響で学生が進学・修学をあきらめることのないようしっかり支えていくことが今後も重要と考えている。令和2年度に実施した「学生等の学びを継続するための緊急給付金」については令和4年度の現在時点では緊急的な給付金を支給することは検討していないが、給付型奨学金と授業料減免をあわせて行う「高等教育の修学支援新制度」は、家計が急変した場合に随時支援対象としており、今後とも学生が家庭の経済状況によって進学・修学を断念することがないようしかりと支援をしてまいりたい。

 

2.給付型奨学金については、都道府県において看護師等修学支援事業や地域の実情に即した支援を展開している。都道府県における支援の事例や良い支援をしている都道府県があれば広く情報を他の県に共有できるようにしていきたい。

 

3.学費の無償化について、高等教育を受けるものと進学せず就職するものとの公平性の観点や必要な財源の確保などから極めて重要な検討が必要。授業料など学納金は各学校の判断で設定されるがその必要性は各学校が保護者や学生に丁寧に説明し理解してもらうことが必要。また「高等教育の修学支援新制度」(住民税非課税世帯対象)は今年6月「経済財政運営と改革の基本方針2022」において、多子世帯や理工農系の学生の中間所得層への拡充が検討されている。(質問に答えて:看護については検討に入っているが現在は結論が出ていないので回答は難しい)。看護職養成所の補助金の拡充について、運営や施設整備には各都道府県に設置されている地域医療介護総合確保基金によって都道府県で財政支援をしている。同基金は各地域の実情に合わせて、都道府県が事業計画を作成し、その補助基準等を公表するもの。引き続き医療従事者の確保・養成、地域の医療供給体制の確保のため予算確保に努めてまいりたい。

[厚労省への要請]

※医療団体連絡会として保団連・医労連などと連名で要請。

 

1.医師・看護師など医療職国家試験で、新型コロナウイルス感染となった場合でも受験機会が失われないようにあらゆる対策を講じる事。

①追加試験の実施を準備する事。

②行動制限がされない場合、濃厚接触者・陽性者への受験環境を整備し対応する事。

 

2.試験会場を可能な限り増やすことで、移動・密を回避する事。

[厚労省からの回答]

1.昨年度の医師等の国家試験については、試験当日の発熱症状がある方は試験会場での抗原検査で陰性の場合と、試験前に濃厚接触者とされた方が試験当日に無症状であるという条件を満たした場合には受験可能とする特例的な対応を行い、コロナ禍でも受験が可能となるよう最大限の措置を講じてきた。今年度も同様の対応を行いたい。医師等の国家試験については医師等の業務を行うにあたり、必要な知識及び技能を担保するための国家試験であることや、例えば医師国家試験の試験問題の作成については100人以上の臨床に関わる医師により8カ月程度の期間を要することなど相当の体制の確保が必要である。これらをふまえると、仮に追加試験を実施する場合は本試験と同等の質及び量を担保した試験問題を実施する必要があるが、これを短時間、または本試験の試験問題と並行して作成し、試験を実施することは困難であること、従来から心身の不調を理由とした追試をしていないことを考慮することが必要と考える。

 

2.試験会場を可能な限り増やすことについては、例年、国家試験が集中する時期において事前の準備や当日の適切な対応など、厳正かつ効率的効果的に試験を実施する体制を確保する必要があることから試験会場を設ける都道府県の数を一定程度限定して実施している。試験会場を増やすことについても同様と考えている。

Ⅲ.看護学校教職員から

「高等教育の修学支援新制度」の機関要件は経営基盤や定員充足率など厳格化が進んでいるが緩

和こそ今必要。生計維持者が死亡・失職しないと家計急変と認められない等、認定要件もハードルが高く大変使いにくい制度。120人の学生が在籍しているが25人から学費が支払えないとの相談を受けている。実習が可能になった反面感染対策からバイトは出来なくなり経済的に更に苦しくなっている。昨年度は120人中105人が緊急給付金を受け取ることが出来、調べたところ給付金は学費に使われ、コロナ禍で学業を継続する救いになっている。

 

国家試験に関しては3年も経っているにもかかわらず、今回も全く同じ回答で手が打たれていないことに強い憤りを感じている。追試の機会が保障されない中、学生たちは緊急事態宣言下と同様の感染対策を継続して頑張っている。第8波は昨年以上の感染爆発で市中感染は誰も免れない。地震・大雪同様の災害級の事態と認識してあらゆる対応を検討していただきたい。国試試験会場への移動で6万人が動くと言われ、これ自体が感染拡大のリスクだと思う。

以上

掲載日:2022年12月12日/更新日:2022年12月12日