院内保育所ではたらく保育士の立場から|ナースアクション国会要請行動
2024年1月30日
全日本民医連保育世話人会代表 長谷川 清美 (広島中央保健生協 保育士)
民医連の院内保育所で保育士をしております長谷川と申します。院内保育所は24時間絶え間なく稼動し続ける医療現場で働く職員のため、主に公的な保育園では補えない産休明け保育をはじめ夜間保育や休日保育を行ってきました。近年の医療現場でのパンデミック状況下においても、保育園や小学校の閉鎖によって受け止め先を失ったこどもたちの保育を担って医療現場とともに奮闘し続けました。
そのコロナ禍では厚労省から自治体に向けて「院内保育所は医療従事者の子どもの保育の受け止め先として重要な役割を担っている」とし、処遇改善の対象外となっている院内保育園の保育士の処遇改善推進に関する事務連絡をして頂いたことは大きなエールとなりました。ただ残念な事に改善が行われた実績は確認できていません。
こども家庭庁も発足し、こどものための様々な支援がすすんでいっているなかで、全くと言っても過言ではないくらい何の対策もとられていないと思われる院内保育所の園児と保育者たちがいることにぜひ着目して頂きたいと思います。
厚労省では折にふれ医療体制推進維持のため院内保育所を運営することを推奨されてきましたが、運営の支援は基金から保育士を雇用する経費の一部を補助してもらうのみとなっています。しかも1年を通して看護師のこどもが毎日保育されていることが条件なので、夜間や休日、学童などの保育を単独で行っても何の支援はありません。
認可保育園のこどもたちは、養護され発達していくことを目的に国から一人ひとりに対する運営費が保障されていますが、認可基準を満たしていると認められ証明書を発行されていても、各自治体の状況や、さまざまな理由によって認可外とされている院内保育所において保育されている子どもに対しては何の対策もないのが現状で、すべて各病院の体力に任されている状態です。
私たちの仲間の院内保育所でも、近隣の認可保育園では補えない夜間休日保育を行っていますが、その地域の認可保育園は土曜日の保育時間が半日や短時間開所の園が多く、病院職員は時間内にお迎えに行けないため、土曜日に勤務の場合も朝から院内保育所で保育を受けています。コロナ禍も閉鎖された認可保育園の子どもたちを受け入れ職員を支えていました。その保育園では今日も近隣の保育園で待機児となった14名のこどもたちの保育を行っていますが、待機児のいない地域という理由で認可への移行は認められていません。もちろん認可基準を満たし証明書を交付されています。
私の保育所は運良く8年前に地域型の認可保育園に移行し、病院の体力に左右されず安定した保育運営を行いながら職員を支える事ができるようになり、保育士の処遇改善もすすみました。処遇改善費は使途の制約があるため確実に保育士の処遇が改善されてきたと嬉しく感じる反面、処遇改善してもらえない仲間がいることに正直申し訳ない気持ちにもなります。国で保育士の待遇改善をすすめて頂いていても、その責務や仕事量との乖離のためか?保育士離れ・保育士不足はまだまだ課題となっています。まずは認可基準を満たしている保育所の保育士にも早急に処遇の改善をすすめて、保育士定着にも尽力して頂きたいと思います。
どこに生まれどこで育っても、安心安全の質の高い保育環境が与えられることが私たちの願いです。医療現場で働く職員のこどもたちであることで保育の格差がうまれることが決して無い様に、国の医療の充実とともに院内保育所の充実に関しても、ともに考え、早急な対策を行って頂きたいと思います。どうかよろしくお願いします。
民医連は以下の要請書を提出しました
掲載日:2024年1月30日/更新日:2024年2月9日