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富山|コロナ禍での看学対活動|キラッと看護介護実践集より

コロナ禍での看学対活動を振り返って

富山医療生活協同組合 富山協立病院 / 看学対事務 土肥 珠実

新卒確保のためどのように活動するか

新型コロナウィルスは医療現場に様々な影響を及ぼしました。物資の不足、受診控えによる患者の減少、通常の業務に加えての感染対策等、ころころ変わる医療の現場は大混乱でした。新卒確保の活動を担う看学対の活動もストップせざるを得ず大打撃を受けました。どの県でもこれからの活動をどうしていけばいいのか悩まされたと思います。

 

別会場「高校生医療体験」で看護師から心に残るエピソード

私が前任者から看学対を引き継いだのは、コロナ禍2年目で今までの学対の企画が中止となり、他のやり方を模索しているときでした。まず任されたのはいつも病棟で行っている高校生の看護体験です。今までは病棟で実際に患者さんと触れ合って手浴等のケアを体験してもらっていましたが、病棟への立ち入り自体が禁止されたので今まで通りのやり方をなぞるわけにはいきません。コロナ禍初年度は企画自体が中止となりましたが、看学対と医学対で協力し、名前を「高校生医療体験」とし、看護師をめざす高校生だけでなく医療従事者をめざす高校生に範囲を広げて開催することに決定。院内がダメなら外に出ればいいじゃないか!と別会場を借りての企画を練りました。
企画内容としては看護師が講師となり感染予防の講義やバイタル測定、ガウンテウニック等の演習を行いました。「患者さんと触れ合う」体験ができないので看護師に自分の心に残っている患者さんのエピソードを伝えてもらいました。「看護師さんからのお話は本当に看護師を目指す自分のためになりました」ととても好評でした。

 

オンライン開催を経て、2023年外来ゾーン体験へ

でも、やはりアンケートでは「病院でできたらもっとよかった」との感想が。そこで次はなんとか外来ゾーンで開催できないか、と企画を進めました。ところがコロナの流行期と重なり開催1カ月前に院内で行うことができなくなりました。そこで急遽、オンラインでの体験に軌道修正することに。急な企画変更でしたが他部署の協力もあり、看護師へのインタビュー動画、普段は入れない部署への潜入動画を作成し見てもらいました。院内への潜入動画はみなさん興味津々で画面をのぞき込むように見ている様子が伺えました。「体験」としては、感染対策としてガウンテクニックを実施しました。画面越しでしたがちゃんと体験ができたこと、感想文では高校生が看護師の仕事の魅力や大変さについてしっかり学ばれた様子が伺え、オンライン開催での手応えを感じることができました。

 

2023年3月には念願の院内での看護体験を行うことができました。病棟には上がれず外来ゾーンでの体験でしたが、別会場の時にも参加してくれた高校生は「病院で体験できたのが嬉しかった」と答えてくれました。リハビリ科、検査科、放射線科等を見学してもらい、普段見る機会のない病院の内部を見せることができて、高校生には良い経験をしてもらえたのではないかと思います。

病棟全体で「学生に充実した実習を」 「臨地実習受入れ5ヶ条」も配布

高校生対策のもう一つの企画、模擬面接もオンラインで行いました。まずはZoomを学ぶところから始まりました。院内の職員何人かに協力してもらい、うまくいくまで何度もテストをしました。また高校生もZoomに慣れていないと考え、本番の前に接続テストの日を設け、高校生に対してもZoomの操作を確認しました。接続テストでアクセスできない方、途中なのに退出してしまう方も模擬面接当日はスムーズに行えたので事前の接続テストを行って本当によかったと思いました。体験や模擬面接で関わった生徒のアンケートで「合格できました」の文字を見てとてもうれしくなり、看学対の仕事のやりがいを感じました。

 

臨地実習受け入れに対してはこんな変化がありました。コロナ禍以前は実習生が来ても実習担当者以外はあまり意識できておらず、実習初日に「今日からか」と気が付く職員が多い状態でした。しかし、コロナ禍で実習の受け入れができない、実習生にとっても実践経験が積めないという状況に。感染状況のピークが収まり、久しぶりの臨地実習受け入れの前のタイミングで看護学生委員長が他の職員に対して言いました。「私たちの頃はたくさん実習していたけど、今の学生さんは経験を積む機会が極端に少ない。今の学生にとって実習ってとっても貴重で大切な時間。だからこそたくさん学んでいってほしいよね」という声に病棟内で職員の意識が変わりました。「学生に充実した実習を」と受け入れる側もあれもこれもさせてあげたいと積極的に考えるようになりました。実習担当者だけでなく病棟全体で臨地実習に取り組みました。

 

それと併せて「臨地実習受入れ5ヶ条」を実習受け入れ病棟に配布しました。「①学生を名前で呼ぼう!②いつも笑顔で対応しよう! ③学生は緊張していることを受け止めよう! ④話しかけられたら手を止めて学生の方を向いて話を聞こう! ⑤1日1回声をかけ職場全体で受入れる雰囲気を作ろう!」民医連の「臨地実習支援10ヶ条を基に看護学生委員会で考えました。実習生を「学生さん」と呼ぶのはやめて名前で呼ぶため、当日に実習生の顔と名前を病棟内に掲示しています。病棟全体で学生を大切にしようという雰囲気があるのでとても心理的安全性が高い状態で実習ができると自負しています。

 

未来にのこしたいコロナ禍のキラッと看護介護実践集より引用

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もっと読みたい人に!書籍のご紹介

未来にのこしたいコロナ禍のキラッと看護介護実践集

COVID-19が猛威を振るい始めてから3年以上が経過し、ワクチンや治療薬が承認され2023年5月8日に感染症5類になりました。通常の医療を継続しながら、感染対策や陽性者の対応・地域の問い合わせに翻弄させられた日々、「まず診る、支援する、何とかする」を実践した日々を忘れてはいけない。後世に残し継承するために、全国のキラッと看護介護のほんの一場面ですが一冊にまとめました。このコロナ禍で起きたことが、なかったことにされないように今後に同様な事態が起きた時に同じことが繰り返されないように、いのちに寄り添った生きやすい社会であることを切に願います。

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掲載日:2024年7月15日/更新日:2024年7月17日