看護部紹介|徳島健康生活協同組合|徳島健生病院 看護部
今年3月初旬、地域連携相談室に患者さん(ご本人)と娘さんが来られました。お話を伺うと、地元の医療機関で治療方針の違いから不信感を抱き、新たに治療・入院の相談ができる病院を探しているとのことでした。当院は緩和ケア病棟はありませんが、緩和ケアチーム会でサポートができることを説明しました。その後、医師の診察を受け、余命は約1年と説明されました。患者さんは医学的知識があり、全てを受け入れているご様子でした。
数日後、癌性疼痛の疼痛コントロール目的で入院となりました。その後、一時退院も検討しましたが叶いませんでした。少し落ち着いた3月末、趣味は旅行と娘さんと話をされていた事もありお花見の計画を立てました。しかし当日は朝から倦怠感が強く楽しみにしていたお花見に行けそうにありませんでした。スタッフから「桜を見せてあげたい。どうしたらよいでしょか?」と管理室に電話がありました。
とっさに頭をよぎったのは、組合員さんのお宅に桜を植えている人はいないか?分けて貰えるかも…。健康づくり事業部に相談すると近所の理事さんに連絡をして頂き1時間も立たない間にしだれ桜の枝を数本届けてくれました。
患者さんのお部屋に飾ると桜を眺めて感激され涙を流されました。その後も「きれいね、うん、うん、本当にきれいよね。」とベッドに横になり眺めていたそうです。2日後にご家族に見守られながら息を引き取りました。
短い入院期間でしたが患者さん、ご家族の思い、そして少しですが心に触れるケアの提供ができたのではないかと思っています。そして、桜の枝を持ってきてくれた組合員さんにお礼の手紙を出しました。すると、「一刻も早く、日本のサクラを見せてあげたいと思い心を動かされました。頂いた手紙を読んでいく途中、いろんなことが判り、私も涙を貰いました。人間として当たり前のことをして、皆さんからこんなに喜んでいただき身に余る光栄と感謝しています。」とお返事を頂きました。
あらためて民医連の看護・介護は患者さん、ご家族、組合員さんと共にあると感じることができました。
掲載日:2025年5月1日/更新日:2025年6月17日