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愛知|100歳おめでとう念願の自宅退院|キラッと看護介護実践集より

~家族みんなに囲まれて~

医療法人(社団) 名南会 介護医療院名南ふれあい病院 / 病棟課長 吉田 真美

在宅療養可能でも家庭の事情で施設滞在が7年に

コロナウイルス感染症が流行し始めた年、介護医療院への異動がAさまとの出会いでした。

Aさまは同居している長男嫁の脳出血発症にともない、在宅介護困難とのことで介護療養病棟へ入院。

既に7年間の施設療養生活でした。

 

歩行は困難でしたが、移乗や排泄動作は自立から見守りでの実施が可能。

時折体調を崩すこともありましたが、安定した療養生活をされていました。長男嫁は脳出血後の後遺症として左不全麻痺あるもほぼADL自立まで回復することができましたが、既往の統合失調症の影響か日常生活には声かけや見守りが必要な状態でした。

要介護者が2人となりましたが、介護保険サービス等を利用することで、在宅療養復帰が可能ではないかと、長男へアプローチし続けていました。

 

しかし、母親と妻と要介護者2人の在宅介護は困難との返事。Aさまの自宅へ戻りたいとの気持ちを受けとめ、長男も誕生日や正月などには、大好きなひ孫に会えるよう外出や外泊を積極的に叶えてくれていました。

また、引退後も日本舞踊の師範としてたくさんのお弟子さんから慕われるAさまが交流を続けることができるように、面会や絵手紙で近況報告をするお手伝いをしてきました。

施設内の季節行事では若いスタッフに盆踊りを指導するなど役割を持ち、毎日お化粧をしておしゃれも忘れず、楽しく過ごされていました。

「家に帰りたい」希望を叶え、在宅看取りを実現

施設内の感染管理のため面会が制限から中止になり外出や外泊も禁止となりました。

Aさまも家族も面会できないことをどこの家族よりも辛く思われ、何度も問い合わせがありました。また、この間に新居への転居があり、Aさまは自分自身で荷物の整理ができないことを悔しがっていました。

 

100歳を迎える記念の年でもあり、親族全員での誕生日の食事会を切望されました。

 

施設の感染管理を行いながら希望を叶える方法について検討し、長男家族のみ・食事はしないなどの感染対策をお願いし、自宅へ外出して誕生日を祝うことができました。

 

施設でもお祝いの会を実施し、黒田節を入所者やスタッフに披露していただきました。

 

その後もオンライン面会や個人携帯でのビデオ通話をスタッフが介助するなど、Aさまと家族の要望に応えて実施していましたが、オンライン面会では家族共に面会した実感がないとの申し出が繰り返しあり、建物の外周経路を使用しての窓越し面会など工夫を凝らして要望に応えていきました。 翌年の101歳の誕生日から5日後、入浴中に脳梗塞発症。

 

家族より積極的な治療は希望しないことを確認し、「ひ孫に会わせるまで」と水分補充の点滴のみ実施。家族との時間が持てるように個室へ移動し、1日1回2名ずつの制限の中、連日の対面面会を開始しました。来院の度に長男や孫夫婦より、もっと自由に面会できないかと問い合わせがありましたが、施設感染管理上これ以上の面会緩和をすることができませんでした。発症9日目、Aさまの残りの時間をどのように支援するかをスタッフ間で話し合いました。

ずっと家に帰りたいと希望していたこと、家族も1度は新居に連れて行きたいと話していたこと、孫に医療従事者(看護師と理学療法士)がいること、積極的な延命治療を望んでいないこと、期間限定であれば介護サービスを利用して在宅介護が可能と思われることから、意識レベルは低下しておりどこまで状況認識できるか分からないが、希望を叶えるために長男夫婦に外出や外泊を含めて、在宅での看取りを提案。課題と対応方法についても具体的に提示し、家族で話し合っていただきました。

 

翌日の発症10日目には在宅看取り意向を確認。基本的なケアや医療管理は介護サービスにて対応する・サービスが組めない時に家族でケアをするサービス計画を調整。

長男夫婦にオムツ交換や口腔ケアの介護指導開始。水分栄養補給は点滴継続となるため、連日訪問看護での管理を依頼しました。

在宅看取りの準備を進める中、払いのける・握りしめるなどの動作や「痛い」や唸り声など徐々に反応が見られ、開眼はしないが質問に頷き等で返答されることも増えました。

 

長男は回復の兆しと喜び、「以前もアイスを食べて回復した。食べると元気になるのでは」とアイスを持参し経口摂取を希望。

言語聴覚士にて評価するも誤嚥リスク高い状態。

医療従事者が見守れる環境で、味を楽しむ目的での摂取を提案しました。

 

発症23日目、在宅支援スタッフを含めた退所前カンファレンスを実施。

 

発症30日目、療養生活を共にしてきた入所者に見送られ退所となりました。退所から13日目永眠されたと連絡あり、長男からも息を引き取る前に少し苦しそうであったが穏やかな最期であった、自宅にて家族みんなで見送ることができてよかったとの言葉をいただきました。

最後の瞬間までその人らしく過ごすお手伝いを

今回、コロナ禍による施設の面会制限が家族を動かし、在宅での看取りにつながった事例でした。

家族の声を聞きながら、幸せを感じられる時間を作ることができたことは、私たちスタッフにも力を与えてくれました。

ただ、元気なうちにアプローチできなかったことが悔やまれます。 介護医療院には、意向確認できない状態の方がほとんどです。

最後の瞬間までその人らしく過ごすお手伝いができるよう、日々取り組み続けたいと思います。

 

 

 

未来にのこしたいコロナ禍のキラッと看護介護実践集より引用

 

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掲載日:2026年8月25日/更新日:2026年8月25日