大分|発熱外来を開設し 学んだ看護|キラッと看護介護実践集より
発熱外来を開設し学んだ看護について
大分県医療生活協同組合 / 法人看護部長 河野 香織

日々発生するトラブル・課題の修正、実施、評価を重ねる
新型コロナウィルス感染症が流行し院内での診察では対応が難しくなっていく中、大分健生病院では発熱者を断らずに診察できるように2020年4月20日より発熱外来を院外の駐車場に開設しました。 開設にあたっては看護部が中心となり受付方法、診察や検査の流れを手順化し、発熱外来に関わる部署に参加してもらい、シミュレーションを行っていきました。発熱外来の担当看護師を新たに採用することは難しく、病棟・外来・健診課など看護師が勤務する部署から支援職員を出してもらい体制を整えました。 開設する前にシミュレーションを行いましたが、日々トラブルや課題が発生し、修正、実施、評価、また修正の繰り返しでした。
看護師も日々変更される手順に戸惑いながらも必死に業務を行っていました。 発熱外来での業務は、これまで患者の側で寄り添う看護を行っていた看護師にとって、心の中でもやもやしたものが発生します。「会話する時間は短く、なるべく触れない」が感染防止対策としてその頃は周知されていました。
PPEを着用しながら患者さんと一定の距離を取り、接する時間は10~15分以内の時間制限付きでした。 高齢者にとってマスク着用のまま距離を取っての会話は看護師の声が聞き取りづらくなります。大きな声で話しかけることや接触時間が気になり早口になってしまうことで相手の印象を悪くさせていないか、時間が気になって問診で情報収集不足が発生するのではないかなど気になる点が上がってきました。 院外の業務のため、夏は長袖ガウンやN95マスク着用による暑さと息苦しさがあり、水分摂取もなかなかできず脱水症予防が重要で、冬は寒さとのたたかいでした。
職員を守るための4つの取り組み
過酷な勤務環境の中で職員を守るため4つの取り組みをしました。
①感染防止対策を何回も伝える 正しいPPEの着脱、手洗い、清掃方法については、各職場で定期的に注意喚起や学習会、目で見えるようにPPEの着脱の写真を掲示するようにしてもらいました。
②PPEが不足しない手配 マスクや長袖ガウンが不足する中、組合員の方々に状況説明をして手作りでマスクや長袖ガウンを作成してもらい、不足することなく着用ができました。
③短時間で情報を聞き取るスキル向上 発熱患者=コロナ感染と決めつけない、発熱原因で何が考えられるのか、感冒症状だけではなく膀胱炎症状や歯科疾患が潜んでいないか、頸部リンパ節が腫れていないかなどの観察ができるように日々の指導を行いました。
看護師に知識があれば適切な症状観察ができ、問診でも時間をかけずに聞き取ることができます。発熱外来受診でこれまでもEBウィルス感染症、悪性リンパ腫、歯の抜歯後の膿瘍などが原因の発熱だった方もいます。 特に高齢者は自分の症状をうまく伝えることができずに「何か悪いんよ」と表現されることもあり、「どこが悪いと感じているのか」を探り、医師がカロナール処方だけで帰宅させない情報の聞き取りが重要でした。
④職員の健康管理 院外での業務は職場環境的にはかなり辛く厳しい状況です。夏場に水分摂取をしたくてもできない状況で出血性膀胱炎になった職員もいます。定期的に水分摂取ができているかの声かけや夏場は体を冷やす対策、塩分が入っている飴やタブレットの支給。冬は寒さで手がかじかみ電子カルテのキーボードが思うように打てません。防寒対策でカイロや暖房器具を手配しました。
現状や困りごとの話を聞く時間を取るように心がけていました。
どんな状況でも患者に寄り添う看護を
発熱外来に関わる看護師の役割は、「診察、診療の補助だけではなくその後の患者フォローを行うこと」「発熱あるなしに関わらず一人の患者として向き合い共感し気持ちに寄り添うこと」「自宅での健康管理や感染予防ができるように伝えること」「健康管理」であると、私たちは学びました。
発熱外来でコロナ陽性を伝え、不安で涙を浮かべる患者の背中をさすりしばらく話しを傾聴すると少し笑顔が見られる時もあります。発熱外来では短い時間で信頼関係を築いていくことが難しい状況ですが、その中でも共感して心のケアをすることが看護師の役割だと改めて思いました。
新型コロナウィルス感染症が5類となり、院外の発熱外来は閉鎖し、院内でゾーニングしながら発熱者の診察を行っています。コロナ禍での学びを今後に活かし、どんな状況でも患者に寄り添う看護を実践していきたいと思います。
掲載日:2026年5月17日/更新日:2026年5月13日







