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看護部紹介|埼玉民医連

残された時間を一緒に過ごしたい・・・・

A氏は治療のため再入院が決まっていた。その間2日という短い時間だったが 、子どもたちと一緒に食事をし、誕生日を祝うことができた。一緒に過ごした家族の声は明るかった。「思っていたよりも大丈夫でした。一緒にテーブルを囲むことができて良かった・・」と。

「やっぱり家はいいね!」と一時退院したA氏、家族も嬉しくなるような明るく元気な声が聞こえた。

【夫を介護中の病・・そして兄の死】

70代のA氏は、X年の夏頃からよく転倒するようになった。上肢を骨折した際の血液検査で異常値が見られ、様々な検査の結果、転移性の癌と診断された。告知を受けた本人は、抗癌剤治療を行なうことを選択した。「痛みはあったがリウマチの痛みかと思って我慢していた。夫の介護があったからね。少し落ち着いたら自分のことを・・と思っていたが遅かった。」と、目に涙を浮かべ胸の内を話してくれた。

A氏の入院中、実兄が突然他界した。自身の体のこともあるが、どうしても葬儀に参列したいと申し出があった。コロナ禍であり感染のリスクを考えると許可できない状況ではあったが、なんとか願いを叶えたいと感染対策担当者に相談し、多職種で検討をすすめ安全に葬儀に参列できるよう段取った。病院に戻ったA氏は涙を流しながら参列できたことを感謝し部屋に入った。

同時期、ターミナル期の夫B 氏は他病棟に疼痛コントロールのため入院していた。在宅療養の話に「自分はもう長くない、家族に迷惑かけたくない」と話す反面、残された時間を家族と過ごしたいという希望も時折漏らしていた。

 

【残された時間を家族とともに】

担当医からA 氏とB氏の誕生日が同月であることを知らされた受け持ち看護師は、『その時を一緒に過ごすことができないか 』と考えた。“誕生日に2人で過ごす時間をつくろう”とそれぞれの病棟の看護師、医療相談員、医師、臨床工学技士など多くのスタッフが連携し、家族や本人たちと退院に向けた検討をはじめた。A 氏から「実は、毎年一緒に誕生日を祝っていたのよ」という話も聴くことができ、関わっている職員たちは“一緒の退院を実現したい!”という思いを益々強くしていった。

いよいよ迎えた退院の日、B氏は疼痛が増強し退院が延期となってしまった。そしてA氏の退院の日も発熱で延期となってしまった。家に帰ることを・・一緒に過ごすことをとても楽しみにしていた2人のことを考えると諦めるわけにはいかなかった。準備してきた以上にサービスを手配する等、調整を継続した。さらに、『家族は二度の退院延期で不安が募っているはず』と家族の心情を想像し、看護師たちはできるかぎり連絡し話を聞いた。

いよいよその日がやってきた。先にA氏が退院した。翌日、「今、痛みが少ない、家に帰りたい」と話すB氏の思いを受け止め、その日のうちに退院となった。

毎年一緒に祝っていた誕生会、今年はさらに賑やかに、家族の笑顔につつまれて・・・・。


※写真はイメージです。

掲載日:2023年4月1日/更新日:2023年10月2日