コロナ禍での実習で困っていることはありますか
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、明日の看護職を目指す学生たちの生活と勉学環境にもより深刻な影響を及ぼしているのではないかと考え、看護学生が置かれている現状を把握するための全国実態調査を昨年に続き、実施したので報告する。
<集計概要> 回答数1,347名
●46都道府県、231の看護師等学校養成所の学生(看護学生)から回答を得た
2021年コロナ禍での看護学生の現状と必要な手立て
~看護学生全国実態調査の報告~より
コロナ禍での学業・実習について
1.実習で困っていることはありますか?
(n=1,317)
●どのようなことに困っていますか
①臨地実習に行けない
②リモート増による看護技術の練習不足
③紙上事例が増え、経験値が低い
④実践不足
⑤交通費の負担(支出増) など
2.2021年4月より、実習は行われていますか?
(n=1,325)
実習が計画通り行われなかった看護学生は、9割
3.実習前や実習中に実習病院からPCR検査を求められましたか?
(n=1,285)
4人に1人の学生が、PCR検査を求められた。
4. PCR検査の費用負担について。
(n=323)
5. ワクチン接種について
(n=1,330)
ワクチン接種希望しているが接種できていない学生83人(6.3%)
6.授業・講義(オンライン対応)で困っていることはありますか?
n=1,331
はい 24.9%(331人)
・集中しずらい。
・内容が頭に入らない。
・学びが浅い。
・学習が身についているのか不安。
・自分の学力が付いてる自信が無い。
・対面と違い、授業のスピードについていけない。
・分からないことがあってもすぐに質問できない。
・オンライン授業は仕方がないが、一方的なものになりがちなため「分からない」が増えている気がする。
・講師もマスク着用のため聞き取りづらいことがある。
・演習が出来ず、技術に不安があるまま実習が始まってしまう。
・回線の常態が不安定で聞き逃すことがある。
・電波が悪くなるなどして、途切れ途切れになって困る。
・通信費が高い。
7.新型コロナウイルス感染症拡大に関して、自身が不快な感情を抱くような事例はありましたか?
●事例は、どのような事例でしたか?
①ワクチンを打たないと実習に行けない
②マスクをしていない人へ向けての罵倒
③医療従事者へ向けての差別
④くしゃみをする時だけマスクを外す方がいた
⑤感染するのではないかと言われた
⑥オリンピックの強制開催
⑦さまざまな対策が不十分であること
⑧何の解決もしてないこと
8. コロナ禍でも、心の支えや力となった体験、励みになったこと
n=400
・患者の笑顔
・コロナで家族に会えなかったから「あなたがいてくれて嬉しかった」と受け持ち患者に言われたこと
・少しでも病棟に行けて、患者とコミュニケーションを取れたこと
・テレビ等でコロナ禍で働く医療従事者を見て、勇気をもらえたこと
・友達と共に頑張れること。
・同じ目標に向かって頑張るクラスの仲間
・友人が看護師を目指す私を電話で応援してくれたこと
・オンライン明けに友人と同じ空間で学習ができること
・10万円給付
・学校の生徒に向けた、地域の方々からの支援物資やカンパを沢山頂けたこと。
・自治体からのナプキン配布
・好きなアイドルが医療従事者に支援や応援をしてくれた。
・みんな夢に向かって頑張っていると思えること
まとめ
• 9割の学生は、計画通りの実習が行われていないと回答。実習で困っていることがあると回答した学生は3割。
• 実習中に4人に1人の学生がPCR検査を求められ、その内14%(43人)が費用負担をしていた。厳しい生活状況の中で、支出が更に増加している。
• 4人に1人の学生が、オンライン授業で困っていると回答。(集中しにくい、学習が身についているのか不安など)
• コロナ禍でも、心の支えや力となった体験、励みについて3割(400人)の学生から声が寄せられた。(実習での体験、友人とのつながり、奮闘する医療者の姿、給付金など)
看護学生実態調査結果資料はこちら
全日本民医連は2021年12月1日、看護師を目指すすべての学生並びに看護養成校への必要な支援を求め、厚生労働省と文部科学省あてに要望書を提出。パンデミックの中で一層強く求められている未来の看護職の養成のために政府が責任をもって支援するよう訴えました。…詳細はこちらから
掲載日:2021年12月20日/更新日:2024年9月25日